妄想インタビュー|レイコ
こんにちは。妄想インタビュアーの佐藤です。
突然ですが、動物たちって、普段言葉を喋りませんよね。でももし、言葉を喋れたら。本当はこう思ってるんじゃないの?仲間との関係はどうなんだ?
この連載は、そんな空想を巡らせながら書いたインタビュー連載です。しばしの間、私の妄想にお付き合いいただけると嬉しいです。本日は記念すべき2回目のゲスト、ヘビのレイコ様にご登場いただきます。どうぞよろしくお願いいたします!
ーおはようございます。レイコさんは朝にお強いのですね。
強い弱いの話ではなく、起きる意志の問題だと思います。朝に弱いなんて、そんなのは甘えです。
ーぐぐぐ…背筋が伸びます…。本日はよろしくおねがいいたします!レイコさんは今は監視部の統括をされていらっしゃるとお聞きしました。
食料や大切なものを保管している倉庫があるのですが、皆で蓄えた食料などを他の生物に取られないように見張りをしています。
ーとても重要な役目を担っているのですね。忍耐力が必要ですよね。
はい。うっかりしていた、では済まされませんから。少しも気を抜いてはだめなんです。まあ何かハプニングが起こるのは年に2回くらいですがね。じっと常に気を張って見てるだけの仕事。でも責任のある仕事なんです。
ー…飽きたりしないんですか?
は?飽きる?飽きないですよ。仕事ですから。というか、飽きたら辞めてもいいんですか?他に誰か守ってくれるんですか?すごく無配慮な質問だと思いました。
ーす、すみません。反省します…。えーっと、レイコさんは毎朝ランニングをしているそうですが、始めたきっかけなどあるんでしょうか?
はい。頭脳派だから役に立たないと言われたことに腹が立ったからです。私は目つきも鋭いし発言も冷たくて、遠まわしに冷やかされることがあるんです。裏で「レイコ様」とか「冷酷なレイコ様」とか呼ばれたりしていて。そしてそのうち、「レイコ様は頭脳派だからね~」と直接言われるようになりました。いざという時に力が無いと役に立たない、と。それからそれを否定するため、力を証明するためにランニングをしています。
ーストイックですね…。私だったら思い出してすごいストレス溜まりそうです。
正直、ストレスは溜まります。そういう時は、「べー」ってやるんです。あっかんべーの「べー」。あっかんべーは、最高です。まず誰にも傷を付けません。武力じゃないから。誰も見てないところでやれば、誰も嫌な気分にもさせない。だけど自分はなぜか晴れた気分になれます。全ての生物に一番おすすめしたい精神を保つための術ですね。
ーびっくりです。あっかんべーやるんですか!なんだか親近感が湧きました。人間だけかと思っていました!
…。何を言いますか。ヘビの舌が長いのは、あっかんべーをする回数が異常に多いからですよ。生まれた時は普通の長さでも、あっかんべーをするうちに、みるみる舌が長くなっていきます。正直、人間に真似をされはじめた時は少しもどかしい気持ちがありました。
ーえ!え!本当ですか?確かに舌長いの不思議だなーと思ってましたが、こんな形で謎が解けるとは…。じゃあ私も毎日あっかんべーをすれば…。
はい、舌がみるみる伸びると思います。でも私たちにとっての「手」が舌なだけで、人間の舌が伸びたところで特にメリットないですよね。ちゃんと手がありますし。私、小さいころからピアニストになりたくて。でも母親に言われたんです。「ヘビはピアニストにはなれない。そういう生き物なの。」悲しかったです。やるせなくてやるせなくて。どれだけ人間を羨んだか分かりません。
ーそんな過去があったんですね。でも今すごく楽しそうですが、何か気持ちの変化があったんでしょうか?
はい、友達のマサミがフラダンスサークルに誘ってくれたんです。最初はなんでフラダンス?と思いました。恥ずかしさもありました。でもなんとなくやってるうちに、楽しくなってきて。私はこれがやりたかったんだと思えるほどでした。ヘビの私たちだから出来ることを楽しくやっているうちに、気分も明るくなってきて、自分がヘビであることを誇りに思えました。マサミには本当に感謝しています。
ーフラダンス…!厳格なレイコさんからは想像できませんが、素敵ですね。置かれた環境の中で、出来ることの中で楽しむ。私も見習いたいです。本日は貴重なお話ありがとうございました。すべての生き物に希望を与える記事になると思います。それではお元気で!
ありがとうございました。またお会いしましょう。お元気で。